株式会社micado
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約20年前から登場したOTA(Online Travel Agent)は、今や多くのホテル・旅館に欠かせない集客ツールとなっています。しかし、その裏側を見てみると、現在に近づくにつれて「価格破壊」が目立つようになりました。これはインバウンド需要の高騰により、宿泊施設の数が急増したことが大きな要因です。
また、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大によって、宿泊需要が低下してしまったことから、宿泊予約の条件も変化しているのを皆さまも実感しているでしょう。つまり、今までのような集客戦略だけでなく、さまざまな視点によるマーケティング思考が、先々の予約獲得における重要なポイントともいえます。
そこで今回は、当メディアの運用兼ライターである高橋が、約200本以上のホテル・旅館向けの記事コンテンツを作成してきた編集長の渡邉 典史(わたなべ のりふみ)に、先々の宿泊動向を見据えたOTAの販売戦略・戦術についてプチ取材してきました!
今後のOTA集客に活かせる有益な情報が詰まっているので、ぜひ最後までご覧ください!
よろしくお願いします! 今回は、”将来を見据えたOTAの戦略・戦術について”お聞きしたいのですが、はじめにOTA情勢を整理したいと思います。 最近の動向などはいかがでしょうか?
よろしくお願いします。最近のOTA情勢としては、引き続きコロナ禍中で集客に苦戦している施設が多いですよね…。ユーザーの行動変化によって、宿泊予約の条件が変化しているのも大きく影響していると思いますが、予約の埋まる施設と埋まらない施設の差としては、“販売戦略の違い”だと思っています。
ぶっちゃけた話をしてしまうと、OTAに掲載しているホテル・旅館の数は多くありますが、売上シェアでいうと規模の大きい宿泊施設がほとんどです。もちろんエリアによっては、小規模な施設が販売シェアを占めているケースもありますが、この事例はエリア一帯で同規模の施設が多いからだというのも考えられます。その理由としても、OTAで売上を伸ばすのであれば販売実績が大きく影響するので、客室数の多い施設が勝ちやすい部分があるからです。もちろん、口コミの点数やOTA側からのピックアップによっても、興味・関心や露出度合いにも高低差はありますね。
確かに…同エリアの動向を見たときに、一つの宿泊施設が販売シェアを多く占めている場合もありますよね。
そうなんです!郊外に行けば行くほど、そういった現象は起きている可能性は高く、都心部ほど施設数が多かったり、宿泊客の母数が多かったりするので、予約が埋まる施設の順番は決まっていると言っても嘘ではないですからね。(笑)
特に、コロナ禍の宿泊需要はエリアごとで高低差が激しいことに間違いはないんですけど、予約の埋まるホテルと予約の埋まらないホテルの差異というのは、分析していけばいくほどわかるんですよね。
なるほどですね!もしよろしければ、読者の皆さまに向けて、今後のOTA集客について何かアドバイスなどをお願いします!
そうですね。ちょっと言い方が悪いんですけど、自ら価格競争に巻き込まれにいってしまう宿泊施設が多いなぁ…っていうイメージがありますね。その理由としても、OTA側から「エリアのADRが全体的に下降しています」や「他社さんでは価格を下げて稼働率重視で販売しています」など、予約数を増やしたいなら価格を下げましょう! というアドバイスが大きな要因だと思っています。また、各OTA社での割引・ポイント還元や有料広告枠など、露出枠を上げるために手数料をどんどん支払う循環ができているのも一つの要因ですよね。
何が言いたいかというと、OTA内で販促コストをかけるのであれば、いかに効率的に販売活動をしていくかが重要ということです。OTA側からのアドバイスや提案を鵜呑みにするのではなく、有料広告の一つにせよ、投下した費用がどのくらいの成果が出ているのかを検証していくことが必要だと言えます。
具体的なアドバイスができているか微妙ですが、将来のOTA集客は、必要以上にコストを支払わずに売上(利益)を上げる販売促進をする必要があるということです。
自社のルールを守りながら、最低限のコストで最大限の集客をしていく! ということですね。読者の皆さまも納得していただいたのではないでしょうか!
また、レベニューマネジメントも欠かせない一つの施策ではありますが、OTA内で検索するユーザーに効果的な訴求をすることも重要です。特に、コロナ禍中では在庫数と宿泊客のバランスが崩壊しているので、”どこの層に向けて・どのようなアプローチをするか”を徹底しなければ、誰にも刺さることない販促の取り組みになってしまいます。
なので、宿泊需要が低迷しているウィズコロナからアフターコロナの間では、OTAマネジメントではなく、「OTAマーケティング」に取り組むことが予約獲得において重要なんですよね。
OTAマネジメントではなく、”OTAマーケティング”ですか?
はい。OTAマーケティングを改めて説明すると、価格訴求の販売ではなく、各施設のターゲットとする客層に向けた販売手法のことです。例えば、フォトギャラリーの写真1枚や販売しているプランのタイトルだったりを特定の層に合わせる施策などを指します。
別名”マイクロコピー”と言うんですけど、ユーザー体験をより素晴らしいものにする取り組みのことです。OTAで掲載できる情報は限られていても、楽天トラベルやじゃらんなどはテキストや画像を柔軟に変更できるので、本当に細かい施策ではあるんですけど、ターゲットとする顧客とニーズマッチしそうな仕様にしていくことがOTAマーケティングの役割なのではないでしょうか。
本来はOTAマネジメントとマーケティングは同時に進めることが最適なんですけど、OTA内での販売促進に関するノウハウや知識がないホテル・旅館が多くあるので、なかなか両立した販売活動ができないのが難しいところなんですよね。
掲載できる情報が限られているOTAでも、ターゲットごとの販売方法を意識したマーケティング思考が必要ということですね!
その通りです!さらに言うと、OTA内であらゆる特集・キャンペーンなどが実施されているので、各施策ごとの効果測定をしっかりと行うことが重要です。想定していた販売数よりも売れる場合は割引やポイント率を制限したり、全く売れないようであれば次回は違う打ち出し方をしたりなど、さまざまな対策が行えるようになりますね。
やはり、100円,200円でも売上高が大きく変動するビジネスモデルなので、さまざまな要因を加味した上で実践していくのがOTAマーケティングにて欠かせない要素なのではないかと思っています。
これからは、より戦略的な販売活動が必要であることが身に染みてわかりました! 最後に、公式サイトとOTAを交えたWeb集客戦略について一言お願いします!
公式サイトとOTAのバランスを意識したWeb集客戦略ですか…..。う〜ん、一言でまとめると、6:4の比率が理想的ですよね! 一つの媒体に偏りすぎてしまうと、リスク分散できなくなってしまうので、公式サイトに比重を置いた集客ができるようになれば、手数料の削減だけでなく、リピーター獲得のマーケティングもしやすくなりますね。
少し前までは、「公式サイト40%:OTA30%:旅行代理店30%」が理想的なバランスでもありましたが、コロナ禍によってリアルエージェントの需要が急激に下がってしまったので、「公式サイト70%:OTA30%」が良いバランスだと考えています。
公式サイトやSNSなどを通して、幅広いユーザーにアプローチしやすくなったことから、直販比率も獲得しやすくなったので、長期的な戦略ではありますが、実現しやすくなっているのは確かです!
いずれにせよ、新規顧客の集客だけにならず、リピーターを獲得していく施策も同時に行っていくことがアフターコロナの課題になるのではないでしょうか?
よりマーケティング思考が求められるようになったOTA集客では、フォトギャラリーの写真1枚や販売しているプランのタイトルなど、ターゲットにとって魅力的な仕様にすることが重要視されています!
今でも大半の売上を担っているOTAから、安定した予約獲得数を維持していくためには、コアな販売促進や新規顧客を増やすための施策が必要なので、ぜひ効果検証をしながらトライしてみてください!
次回も濃厚なコンテンツを配信していきますので、これからも定期的に「編集長のおすすめ記事」をご愛読してください!